雑誌の連載から始めるという手もある
スーパーバイザー 倉林秀光
今回は、私の恩師である元東海大学教授の謝世輝先生(故人)の話をしたいと思います。
先生は生前、文明評論家・歴史学者として活躍されていましたが、数多くの人生論の本も著述され、成功哲学の草分け的な存在でもありました。
しかし、先生が初めて願望の達成をテーマにした人生論の本を出版しようと考えたとき、ご多分にもれず、どこの出版社も相手にはしてくれませんでした。
優れた理論はお持ちであったものの、実績がまるでなかったからです。
そこで、先生はどうされたかというと、雑誌『プレイボーイ』の編集者に話を持ちかけ、雑誌の連載から始めることにしたのです。
テーマはズバリ「願望はゼッタイにかなえられる」。
すると、この選択が吉と出ました。
連載を始めて数カ月後、ある出版社の編集者から先生の自宅に次のような電話がかかってきたのです。
「大変興味深いテーマで記事を連載されていますね。どうです? 同じようなテーマで書籍としても出版してみませんか?」
こうして、先生は初めて、人生論の本を商業出版社から出すことに成功するのです。
同じことは、「本を出したい」と願っているみなさんにもいえると思います。
人によっては、素晴らしいノウハウを持っているにもかかわらず、なかなか企画が通らないこともあります。
そういうときは、「ダメモト」という気軽な気持ちで、雑誌の編集者に売り込みを図り、雑誌の連載から始めてみてもいいと思うのです。
雑誌連載のハードルは皆さんが考えているほど高くはありません。
ユニークな企画、斬新な企画、興味深いテーマであれば、無名の人であっても前向きに検討してくれます。
そうやって連載を始めれば、それ自体が大きな実績になります。
自分の考えを、いっそう緻密に体系化することができます。
それに恩師の例にもあるように、商業出版社の書籍担当の編集者の目にもとまりやすくなります。
こうした相乗効果によって、単行本として出版する確率も高まるようになるのです。