文章上達のポイント その2
スーパーバイザー 倉林秀光
前回に引き続き、今回も文章上達のポイントについてお話してみたいと思います。
出版企画書(企画意図)を作成するうえでの参考にしてください。
- 主語と述語を明確にする
まずは、以下の例文を一読ください。
頭がいいと評判の子犬を連れたあの子供は、私の甥です。
さて、これだと、頭がいいのは子犬なのか、甥なのか、はっきりしませんよね。
両方にかぶってしまいます。
そこでこういうとき、特に頭がいいのは甥であることを強調したい場合は、次のように組み替えると分かりやすくなります。
子犬を連れた頭がいいと評判のあの子供は、私の甥です。
- 主語と述語の重複をなくす
これもまずは例文をご覧になってください。
この電車の止まる駅は、笹塚、幡ケ谷、初台、新宿に止まります。
「止まる駅」(主語)と「止まります」(述語)が重複しています。
したがって、こういう場合は次のようにズレ(重複)をなくすだけでも、読みやすくなります。
この電車は、笹塚、幡ケ谷、初台、新宿に止まります。
- 接続詞を的確に用いる
これもまずは以下の例文をご覧ください。
先日、新潟に出張に行った。しかし、風邪をひいて熱を出してしまったのだが、同行した部下が市販の風邪薬をくれたのだが、助かった。
実は、文章が下手な人・苦手な人にもっとも多いパターンです。
いわんとする意味はなんとなくわかりますが、理解するまでに一苦労。
こんな感じの文章が企画意図に書かれていたら、それだけで編集者の読む気は失せてしまいます。
したがって、次のように「しかし」「だが」の使い方に配慮することが重要になってきます。
先日、新潟に出張に行った際、風邪をひいて熱を出してしまった。しかし、同行した部下が市販の風邪薬をくれたおかげで助かった。
- 「~の~の~の」は多くても3回まで
これも文章が下手な人・苦手な人に多いパターンです。
たとえば、次のようにです。
源氏の棟梁の源頼朝の開いた鎌倉幕府の所在地は、神奈川県にある。
しかし、これだとやはり読みづらくなります。
そこで「~の~の~の」は多くても3回までとし、できることなら、以下のように別の言い回しをするようにしましょう。
源氏の棟梁である源頼朝が開いた鎌倉幕府の所在地は、神奈川県にある。
- 同じ接続詞・副詞はつづけて用いない
これも文章が下手な人・苦手な人に多いパターンです。
ダメな例文を出すと次のようにです。
先週、出張で名古屋に行った。しかし、あいにくの天気で雨ばかり降っていた。しかし、商談はまとまった。
ホテルのレストランで中華バイキングを食べてきた。とくに四川料理先が美味しく、とくに海老チリが最高だった。
こういうときは、次のように接続詞・副詞を別の言葉に置き換えるだけでも、読み手に与える印象はだいぶ違ってきます。
先週、出張で名古屋に行ったら、あいにくの天気で雨ばかりふっていた。しかし、商談はまとまった。
ホテルのレストランで中華バイキングを食べてきた。とくに四川料理が美味しく、なかでも海老チリが最高だった。
さて、本年のブログ更新はこれで最後です。
みなさん、今年一年、ブログをお読みくださいまして、ありがとうございました。
来年もよろしくお願い申し上げます。
みなさんの名前で出版された本が書店の平積みされるのを、心から祈念しております。
どうか良いお年をお迎えください。