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ゴーストライターは学び続けるのが仕事

スーパーバイザー 倉林秀光

 

これまで私が関わってきた著者の中にはいろいろなタイプの人がいました。ちょっと変人だったり、クセがあったり……。

Aさんという著者もその内の一人でした。

Aさんは下戸でお酒が飲めないせいか、「居酒屋’’」「飲み会」「ビール」「日本酒」「ワイン」「一杯飲む」「酒の肴」……といった、お酒に関する言葉を嫌い、原稿の中にそれらが入っていようものなら、すぐに削除してしまいます。

逆に、お酒に関して否定的な内容である場合は、削除せずに採用します。たとえば、「お酒の飲み過ぎは体に良くありません」といった内容のものならばOKになるのです。

また、下ネタも苦手なため、下ネタも厳禁。

そのうえ、大の掃除嫌いときていますから、「掃除」「整理整頓」「片付け」という言葉もNG。

さらに、彼は極端なハイテク音痴のため、「携帯電話」「スマホ」「パソコン」「ブログ」「ネット」等々といった単語も、原稿の中に入っていたら即削除。

その他にも、まだまだ嫌いなもの、苦手なものがある、いわゆる規制が多い著者で、彼のゴーストを引き受けたときは、それはそれは大変な思いをしました。

でも、こういうワガママな著者のゴーストをすると、文章力・企画力・創造性などが高まるのも事実。自分のレベルが上がっていることが痛感できます。他の著者の仕事がだいぶ楽に感じたりもします。

おしなべていうと、ゴーストライターという仕事は書くという行為を通して、日々、学びつづけているのです。そして、それがこの仕事の最大の魅力でもあるのです。

 

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