あなたの名刺、見なおしてみませんか
スーパーバイザー 倉林秀光
仕事柄、私は数多くの人と名刺交換をすることがあります。
名刺交換した人の肩書きはさまざまです。
行政書士。中小企業診断士。税理士。心理カウンセラー。Webデザイナー。一級建築士・宅地建物取扱主任者。○○大学教授・理学博士。株式会社○○・代表取締役などなど。
しかし、中には「この人って、いったい何者なの? 何を専門としているの?」とクビをかしげざるをえなくなる人もいます。
群馬でお会いしたA子さんという40代の女性がそうでした。
「本を出したいので、是非ともお力添えください」といって私に手渡してくれた名刺には、次のような肩書きが羅列してあったからです。
「オフィス○○ 代表」(保険の代理店)
「ヨガ・インストラクター」
「ヴォイス・トレーナー」
「西洋占星術師・風水研究家」
「フラワー・アレンジメント講師」
「紅茶ソムリエ」
それでいて、出したい本のテーマが「ダイエット」。肩書きと関連性があるものといえば、ヨガのインストラクターくらい。
何が言いたいかというと、出版の企画書はもちろんのこと、そういった肩書きを羅列した名刺を編集者に渡すと、不信感を抱かれるようになるということです。
当人からすれば、「これだけ多方面で活躍している」というマルチぶりをアピールしたいのかもしれませんが、編集者はそうは捉えてはくれません。むしろ、逆効果。
「この人は器用貧乏なだけかもしれない」
「一芸に秀でているモノがないのかもしれない」
という目でしか見てくれません。
そのため、企画の内容が優れていても、マイナスの査定を下され、出版実現の確率がかえって下がってしまう可能性があるのです。
しがたって、出版企画書の著者略歴の欄には、基本的に本のテーマに関係する肩書きをメインに記し、サイド・ビジネスで行っていることや趣味の領域で行っていることはできるだけ書かないようにすることが大切になってきます。
同時に、これを機に自分の名刺も見なおしてはどうでしょう。
編集者の中には出版企画書に興味・関心を示し、著者にコンタクトを求める人もいます。
この段階で、出版実現の可能性は半々かそれ以上。勝算おおあり。
しかし、手渡した名刺のせいで、その可能性をグンと下げてしまうことほど、愚かなことはないのです。