【あることを強調したいとき、文章はどう書く?】
スーパーバイザー 倉林秀光
まずは恐竜の写真をご覧ください。全長25メートルもある大型恐竜です。
私がそのことを強く訴えたとしても、この写真だけではピンとこないと思います。
ふーん、25メートルもあるのか……大きいんだなあ……と思うくらいでしょうし、さしたる驚きもないでしょう。
では、こちらの写真はどうでしょう? 今度は最初の写真とは違う印象を抱くのではないでしょうか。
わっ! 本当に大きい。全長25メートルもあるのがうなづける。バンがあんなに小さく見えるし、あんなのに踏みつぶされたら大変だよ……と思う人もいるはずです。
これがもし、最初の写真だけしか見せられなかったら、あんなのに踏みつぶされたら大変だよ……とは思わないでしょうし、二枚目の写真を見たからこそ、そう思えるのではないでしょうか。
なぜ、こんな話をしたかといいますと、文章にも同じことがいえるからです。
自分がもっとも強調したいことを書くとき、そのことだけ書いても読者に響かないことがあります。
そういうときは、何かと対比させてみるのです。そうすることで、読み手のイメージ力が増し、言いたいことを伝えやすくなるという利点があるからです。
どういうことかを、わかりやすく説明するために、この例文をご覧ください。
SSD搭載のPCは、電源を入れてから、初期画面が出るまで、わずか15秒ほどです。
これは、SSD搭載のPCは、パソコンの起動時間が短いことを強調するための文章ですが、初めてPCを使う人や、IT音痴の人からすれば、「わずか15秒ほど」と言われても、15秒というタイムが本当に短いのかどうか、ピンと来ないかもしれません。
では、この例文はどうでしょう?
HDD搭載のPCは、電源を入れてから、初期画面が出るまで、90秒以上もかかります。
これに対し、SSD搭載のPCは、電源を入れてから、初期画面が出るまで、わずか15秒ほどです。
どうです? HDD搭載のPCの起動時間と対比させることで、SSD搭載のPCの起動時間が6分の1程度と、いかに短いかが、強調できるのではないでしょうか。
それにより、説得力・訴求力も高まるのではないでしょうか。
ですから、「これを強調したい」というときは、まずその対極にある例を出し、その後、強調すべきことを書き著すようにするのです。
私はこれを「対比の技」と名づけました。
あなたもあることを強調したいときは、是非、この「対比の技」を用いてください。