私が「ダメだ、こりゃあ」と思う瞬間
スーパーバイザー 倉林秀光
前回、企画を出版社に売り込んでも、あきらめなければ、状況が変わるようになる。そのためには、ブレない心を持ちつづけることが大切になってくると私は言いました。
ところが、出版社に企画を売り込んでも、却下、却下の連続で、出版のゴーサインがなかなか出ない状態がつづくと、心がだんだんとブレはじめ、他の企画に鞍替えする人も少なくありません。
40代のある男性がそうでした。
男性の肩書きは○○コンサルタント。
その○○をテーマにしたいということで、何社か出版社に営業を試みたものの、なかなか決まりません。
その矢先、男性からこんなメールを頂戴しました。
「もう○○コンサルは止めにします。これからは××コンサルに転身するので、××をテーマにした本を出そうかと思います」
この瞬間、私は「ダメだ、こりゃあ」と思いました。
そして、こうも思いました。
彼は××コンサルに転身するというが、そのうち××がダメになったら、□□コンサルに転身するかもしれない。
□□コンサルもうまくいかなければ、△△コンサルに転身……といった具合に、地に足のつかないコンサル稼業をつづけるんじゃないか……。
なぜなら、彼は○○コンサルの前は●●コンサルの仕事をしていたからです。
これはコンサルに限ったことではありません。
業種・職種を問わず、仕事の専門分野を次から次へと変える人を出版社の編集者は果たして信用するでしょうか。
この点に関していうと、出版社の編集者は私以上にシビアです。
出版社が求める著者とは、石の上にも3年ならず、10年、20年と踏ん張りつづけ、その道のエキスパートとして活躍している人。
すなわち、ブレない心を持ちつづけている人なのです。
そして、売れる本・素晴らしい本の企画はブレない心から誕生するものなのです。