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ライターの性

スーパーバイザー 倉林秀光

 

このところ、出版社から執筆を依頼されるジャンルは健康に関することが多く、最近は立て続けに健康本の執筆に追われています。著者の大半は医者で、内容には必ずと言っていいほど食べ物のことが含まれます。

全面的に食べ物のことが入ってくる本もあれば、部分的に入ってくる本もありますが、やはり、「食」というものは健康に密接に関係するものだと痛感させられます。

不器用な私は、たくさんの資料を読み込みながら、次第に著者に近づいていき、書き終えたときには、その道の大家のような“なんちゃって医師”になっていたりします。

 

そしてしばらくは、その著書の理論に感化されて、著者の健康法を実践します。

「鳥の胸肉には、疲労回復する成分のイミダペプチドが豊富に含まれていて、カロリーも低いから、今日の晩御飯は鳥胸肉の親子丼にしてほしい!」

「玄米や雑穀は、現代人に不足している栄養素をたっぷり含んでいるから、これからしばらく食べてみよう」

「日本人に一番適している和食を食べるようにして、ジャンクフードはNGね」

「トランス脂肪酸は百害あって一利なしだから、料理にはゼッタイ使わないでよ!」

「砂糖でも、塩でも、精製したものは体に良くないから、これからは精製しないものを使ってよ」

 

しかし、このマイブームを快く思わないのが妻です。

「以前、鳥の胸肉はパサパサしているから食べたくないって言ってましたよね」

「それに昔、玄米にしたら食べにくいからって、すぐに白米に戻しましたけどね」

「あと、和食より洋食やポテチが好きなのはあなたですよ。それに、あなたはコーヒーにたっぷり白砂糖が入ってないとイヤじゃない……」

「とにかく、言うことがコロコロ変わるから大変なのよ。勝手なことばかり言って振り回さないで!」

こうしてお叱かりを受けてしまうのです。

 

たしかに、妻の言い分も分かりますが、著者の気持ちになって書いていると、どうしてもどっぷりと影響を受けてしまうのです。

これもライターの性。妻にはカルシウムをたくさん摂っていただいて、イライラ、カリカリしないよう願うばかりの今日このごろです。

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