企画意図の起承転結
スーパーバイザー 倉林秀光
私はこのブログで、これまで「起承転結」の重要性についてたびたびお話してきました。
出版企画書の主軸となる企画意図も例外ではなく、起承転結を踏まえて作成する必要があります。
しかし、そうはいっても「言うは易し、行うは難し」。
みなさん、実際に作成しようとすると、どうしても行き詰ってしまうようです。
そこで、今回は例文を出しながら、起承転結を踏まえた文章の作成方法についてお話したいと思います。
まずは、以下の例文をご覧になってください。
これは、ある会社の社長が社内報に記載するために書いた元原稿です。
皆さんに提案があります。これから人に何かしてもらったときは、「ありがとう」という言葉を口にしませんか。「ありがとう」は感謝の言葉なので、口にした人も聞いた人も、後々、明るい気分でいられると思うからです。
最近、ウチの会社ではコピーとりを手伝ってもらったときやお茶を入れてもらったときなど、誰かに何かをしてもらったとき、「すみません」という言葉が多く飛び交っているような気がします。でも、はっきりいって、この言葉は好ましくないと思います。「すみません」は感謝の言葉ではなく謝罪の言葉なので、言われたほうも、あまり気持ちよくないと思うのですが。
さて、上記の文章ですが、文法的にとくにこれといった問題点はありません。
でも、なんとなく淡々としていますよね。
抑揚がありませんよね。
なぜか。それは言うまでもなく、起承転結がバラバラだからです。
そこで、この文章を、起承転結を踏まえながら組み立て直すと、次のようになります。
【起】最近、ウチの会社ではコピーとりを手伝ってもらったときやお茶を入れてもらったときなど、誰かに何かをしてもらったとき、「すみません」という言葉が多く飛び交っているような気がします。
問題の提示
【承】しかし、はっきりいって、この言葉は好ましくないと思います。「すみません」は感謝の言葉ではなく謝罪の言葉なので、言われたほうも、あまり気持ちがよくないからです。
問題が及ぼす悪影響の指摘
【転】そこで、皆さんに提案ですが、これから人に何かしてもらったときは、「ありがとう」という言葉を口にしてみませんか。
改善方法の提案
【結】「ありがとう」は感謝の言葉なので、口にした人も聞いた人も、後々、明るい気分でいられると思うのですが。
改善の効果
どうです。今度は、抑揚のある文章になったのではないでしょうか。
企画意図の作成においても同じことがいえます。
今までにない集客方法をテーマにした本しかり。仕事術をテーマにした本しかり。健康法をテーマにした本しかり。
企画意図を作成するにあたっては、以下の順番を肝に銘じてみてはいかがでしょう。
【起】 → 問題の提示
【承】 → 問題が及ぼす悪影響の指摘
【転】 → 改善方法の提案(著者が一番強調したい箇所・著者の最大の強み)
【結】 → 改善の効果
これだけでも、訴求力がグンとアップし、編集者の目にとまりやすくなることうけあいです。