この仕事をしていてつらいこと
スーパーバイザー 倉林秀光
出版プロデュースの仕事は楽しいことばかりとは限りません。
やはり、つらいこともあります。
その一つが、出版社に企画を売り込んでも、パスしなかったとき。
「倉林さん、申し訳ないんですが、提出していただいた企画は通りませんでした」
「ちょっと、ウチでは厳しいかな……みたいな感じです」
こう言われると、一瞬ですが、とても残念な気持ちになります。
とくに「この企画はいけそうかもしれない」と思ったときなどは、さすがの私も凹んでしまいます。
しかし、そのとき、私はできるだけ、企画が通らなかった理由・却下された理由をお聞きするようにしています。
すると、さまざまな答えが返ってきます。
「企画そのものはユニークでおもしろいのですが、最近、ウチではビジネス書の売れ行きが、かんばしくなくて……」
「著者の実績がいまいちのような気がして……」
「ちょっと斬新さ・目新しさがないという理由で、営業部から反対意見が出まして……」
などなど。
こうした率直な意見を聞くことによって、こちらサイドの盲点に気づかされることがあります。
それによって、見落としていたことや忘れかけていたことが再認識できます。
同時に、「今、この出版社はビジネス書の売れ行きが悪いんだな。代わりに健康本が売れているんだな」といったように、その出版社の動向(強みと弱み)を知ることができます。
そう考えると、企画が通らなかったことには意味があるといってもいいと思うのです。
それによって、こちらサイドの盲点や、出版社の動向を知ることができ、新たな策が講じられるようになるのですから……。
その意味で、私も毎日が勉強の日々なのです。