【文字数がオーバーしたときの、とっさの対処法】
スーパーバイザー 倉林秀光
前回もお伝えしましたが、単行本には大まかに二つのフォーマットがあります。
ひとつは、業界用語で「追い込み型」と呼ばれるフォーマット。
これは一つの項目を完結させる場合、字数制限なしで自由に書けるというもの。
もうひとつは、業界用語で「ページ切り」と呼ばれるフォーマット。
これは一つの項目を完結させる場合、見開き2頁以内、もしくは3頁以内に文章をおさめなければなりません。
文字数でいうと。見開き2ページの場合、だいたい1000字以内、3頁の場合は1500字以内でしょうか。
では「ページ切り」のフォーマットで書くにあたって、数10字、あるいは100字以上もオーバーしてしまったとき、どう対処すればいいのでしょう?
文字数を減らすための対処策は3つあります。
いずれもシンプルですが、今回は主語や固有名詞を代名詞に置き換えるやり方をご紹介しましょう。
わかりやすく解説するために、まず、次の例文をご覧ください。
ビートルズの名曲の一つに「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」というポール・マッカートニーが作った曲があります。
ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロードには、ロイヤル・フィルハーモニック・管弦楽団によるオーケストラが導入されています。
しかし、ポール・マッカートニーはこのオーケストラ・ヴァージョンが気に入らなかったといいます。
では、この例文に登場する主語や固有名詞を代名詞に置き換えたらどうなるでしょう。
ビートルズの名曲の一つに「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」というポール・マッカートニーが作った曲があります。
この曲には、ロイヤル・フィルハーモニック・管弦楽団によるオーケストラが導入されています。
しかし、彼はこのオーケストラ・ヴァージョンが気に入らなかったといいます。
いかがです? だいぶ文章が短くなったと思いませんか。
ビートルズの名曲の一つに「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」というポール・マッカートニーが作った曲があります。
ここまでは同じですが、続く「このザ・ロング・アンド・ワインディング・ロードには、ロイヤル・フィルハーモニック・管弦楽団によるオーケストラが導入されています」のザ・ロング・アンド・ワインディング・ロードという固有名詞。これを「この曲」という代名詞に置き換えています。
そして「しかし、ポール・マッカートニーはこのロイヤル・フィルハーモニック・管弦楽団によるオーケストラ・ヴァージョンが気に入らなかったといいます」のポール・マッカートニーという主語。これを「彼」という代名詞に置き換えています。
このように、主語や固有名詞を代名詞に置き換えるだけでも、文字数を減らすことができるのです。
文字数を減らすための他の対処策は次回、お伝えしますね。