【文字数がオーバーしたときの対処法 その2】

スーパーバイザー 倉林秀光

 単行本には「追い込み型」と呼ばれるフォーマットと「ページ切り」と呼ばれるフォーマットの2つがあります。
 後者の場合、見開き2ページの場合、だいたい1000字以内、3頁の場合は1500字以内で文字数をおさえなければなりません。

 そのための方法として、前回は主語や固有名詞を代名詞に置き換えるやり方をご紹介しましたが、他にも2つあります。

 ひとつは、2つの文章を1つにつなげるやり方です。

 まずは例文をご覧ください。

(Before)
 過去と他人は自分の心の持ちようで変えられるなどというと、あなたは次のように思うかもしれません。
「過去と他人は自分の心の持ちようで変えられるって? それができれば苦労なんかしないよ」

 では、この2つの例文をつなげることで、1つにしたら、どうなるでしょう。

(After)
 過去と他人は自分の心の持ちようで変えられるなどというと、あなたは「それができれば苦労なんかしないよ」と思うかもしれません。

 さて、いかがでしょう。これだけでも、かなりの文字数を減らせたことになります。
 
 しかも、上のBeforeの例文では「過去と他人は自分の心の持ちようで変えられるって? それができれば苦労なんかしないよ」となっていましたが、Afterの例文では、「過去と他人は自分の心の持ちようで変えられるって?」の箇所をばっさり削除。
「それができれば苦労なんかしないよ」の箇所だけを残しています。

 こうすることで、「くどさ」もなくなり、かえって読みやすくなっています。

 一つだけ注意していただきたいのは、2つの例文をつなげて1つにするとき、文字数を100字以内。どんなに多くても120字以内で必ずおさめるようにすることです。

それ以上の文字数だと、つまりワンセンテンスが長くなると、理解するのが大変になるからです。


 文字数を減らすための、もう一つの方法は改行をなくすやり方です。

 改行は多ければ多いほど読みやすいという利点があるのですが、限られたスペースの中で文章をおさめなければならないとき、思い切って、改行なしの文章にするのです。

 紙面が限られている場合、空白も文字数にカウントされるので、それによって文字スペースを増やすことができるからです。

 これも前回紹介した例文を元に説明しましょう。
 まず、次の例文をご覧ください。

(Before)
 ビートルズの名曲の一つに「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」というポール・マッカートニーが作った曲があります。
 この曲には、ロイヤル・フィルハーモニック・管弦楽団によるオーケストラが導入されています。
 しかし、彼はこのオーケストラ・ヴァージョンが気に入らなかったといいます。

 では、改行をなくしたらどうなるでしょう。下の例文のようになります。

(After)
 ビートルズの名曲の一つに「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」というポール・マッカートニーが作った曲があります。この曲には、ロイヤル・フィルハーモニック・管弦楽団によるオーケストラが導入されています。しかし、彼はこのオーケストラ・ヴァージョンが気に入らなかったといいます。

 単行本の場合、だいたい1行は38~40字。つまり、改行をなくすだけで、これまた、かなりの文字数を減らすことができ、代わりに空白の文字スペースを作り出すことができるのです。

 以上、文字数を減らすためのシンプルな対処策を紹介しましたが、内容に応じて、うまく使い分けしてみてください。

 数十字~100字程度のオーバーなら、限られたスペース内に必ず文字をおさめることができるはずです。

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