編集者が「こいつ、アホか!」と思う瞬間
スーパーバイザー 倉林秀光
話は前回の続きです。
前回、出版社の編集者はコンサルタントという言葉に警戒心を抱いていると述べましたが、実は他にもあります。
それは、コンシェルジュ、ソムリエ、セラピストといった肩書きを持つ人たち。
私も数多くの人と名刺交換をしますが、中にはこんな肩書きを名刺に記す人も……。
ヘア・セラピスト(要するに美容師)。
ダイエット・ソムリエ(要するにスポーツジムのインストラクター)。
生涯設計コンシェルジュ(要するにファイナンシャル・プランナー)。
未来創造セラピスト(要するに占い師)。
マインド・ソムリエ(要するに心理カウンセラー)。
成功コンシェルジュ(要するに中小企業診断士)。
タチが悪いのは、この人たちはいたって真剣でいること。
そして、その肩書きが格好いいと思っていること。
しかし、本を出したい人が出版企画書にそんな肩書きを記せば、編集者から警戒されるだけ。中には「こいつ、アホか!」とバカにする編集者もいます。
そう、企画の中味が素晴らしくても、マイナスの印象を抱かれてしまうのです。
もちろん、そういう肩書きの人、すべてを否定するわけではありません。
第8回世界最優秀ソムリエコンクールで、日本人として初の優勝を遂げた田崎真也さんのように素晴らしい実績をお持ちの方も多数います。
しかし、そういう人たちは何十年もスキルアップを図ってきた、いわばその道のエキスパート。プロ中のプロです。
それに対し、あなたの場合はいかがでしょう。
失礼ですが、たかだか数年の体験だけで、コンシェルジュ、ソムリエ、セラピストといった肩書きをつけてはいませんか。
名刺にそういう肩書きをつけるのは各自の自由ですが、出版企画書の著者略歴には、やはりストレートに誰もが一瞬で把握できる肩書き(たとえば、美容師・心理カウンセラー・中小企業診断士等)を明記したほうがいいのです。