【見出しのつけ方に工夫をこらす その1】
スーパーバイザー 倉林秀光
通常、目次の見出しは編集者が考えるものです。
しかし、本になる前、すなわち企画書の構成案の段階では、当然、著者サイドで作らなくてはなりません。
ただ、ありきたりの見出しでは、内容が斬新で、どんなに素晴らしいものであったとしても、編集者の心には響きません。
たとえば、あなたが自己啓発書の出版を望んでいて、壁にぶつかったとき、信念と執念をもって乗り越えていくことの大切さについて述べたいとします。
このとき、そのまま「壁にぶつかったときは、信念と執念をもって乗り越えていけ!」みたいな見出しにしたらどうなるでしょう?
「信念」や「執念」という言葉は、自己啓発書にとって、もはや死語。編集者は「またかよ。もう、言い尽くされているんだよなあ」と、うんざりした気持ちになります。
そこで、そういうときは、「信念」と「執念」という言葉を別の言葉に置き換えてみるのです。
たとえば、「コンチクショー・パワーが威力を発揮するとき」といったようにです。
どうです? いわんとする中味が同じであっても、「コンチクショー・パワー」という言葉はエッジが効いているとは思いませんか。
それを目にした編集者も惹かれ、興味・関心を示してくれるのではないでしょうか。
こうしたちょっとの工夫で、編集者に与える印象はだいぶ違ってくるのです。
では、「失敗は成功の基」「失敗しなかったら、今の自分はない」という内容を記したい場合、あなたなら、どんな見出しを打ち立てますか?
「失敗は成功の基」「失敗しなかったら、今の自分はない」
これもまた、言い尽くされたことなので、編集者はうんざりするのは目に見えています。
そこで私ならこんな見出しを打ち立てます。
ある体験をしないと、人生はヤバいことになる。
要は、失敗という言葉を「ある体験」という言葉に置き換えるのです。
すると、それを目にした編集者は、「ある体験って何だろう? その体験をしないと、人生がヤバくなるって、どういうこと?」と、これまた興味・関心を抱いてくれるはずです。