電子書籍の問題点
スーパーバイザー 倉林秀光
二つの餃子があるとします。
どちらかひとつの餃子をタダで食べることができます。
一つは中華料理の腕前に自信のある人が作った餃子。
もう一つは料理の鉄人・陳健一さんに何度も指導を仰ぎ、「これだったら、お店で出してもおかしくないくらいの出来栄えです」と太鼓判を押された人が作った餃子。
さて、あなたなら、どちらの餃子を食べたいですか?
言うまでもなく、後者の餃子だと思います。
いや、料理の鉄人・陳健一さんが「お店で出してもおかしくないくらいの出来栄え」と太鼓判を押すくらいなら、お金を払ってでも、食べたくなるのではないでしょうか。
出版にも同じことがいえます。
近年、ちょっとしたノウハウ・コツをマスターすれば、個人でも電子書籍が出せるようになりました。
しかし、ここに大きな問題点があります。
何が問題かというと、編集者のチェックが入っていないことです。
編集者のチェックが入っていないのというのは、良く解釈すれば、著者の独断場。
悪く解釈すれば、好き勝手・自分勝手、マスターベーションに過ぎなくなります。
すると、どうなるか?
構成・展開(起承転結)がチグハグ。
だから、抑揚もなし。
著者のノウハウの一歩的な押し付けばかり。
こういった問題点が浮き彫りになってしまいます。
つまり、「私は電子書籍で自分の本を出しました」といっても、編集者はそれをブログやフェイスブックと同じような目でしか見てくれないのです。
それに比べると、商業出版社から出る本は、編集者や営業部の意向が大いに反映されています。
どうすれば、抑揚のある展開になるか、読者を引き込むことができるかという工夫が細部にわたってこらされています。
おしなべていうと、出版社はプロの商品開発者が商品を開発しているのです。
あなたには、プロの商品開発者としての自信がおありですか?
最近、電子書籍を出版した。
その勢いで商業出版社から本を出したい。
そう考えている人は、そのへんのことをキチンと自覚するといいと思います。