編集者は本のタイトルの命名に頭を抱えている(出版裏話)
出版の裏話です。
ひところ、ウツという言葉をタイトルに入れた本が多く出版されました。しかし、最近になって、それがめっきり減ってきています。
それはなぜでしょう?
ウツに悩む人が激減したわけではありません。
理由は、買う人が“抵抗を感じる”からです。
たとえば、書店で本を買う場合、レジで精算します。レジの店員は、本を手にとります。
その時に、「店員から、『はは~ん。この人はウツで悩んでいるのか』と思われるのはイヤだ」ということなのです。
本当に、書店員がそんなことを思っているのか、心の声が聞こえるわけではないので分かりません。しかし、ネガティブなタイトルの本をレジで精算するのは、確かに気おくれすることがあります。
ちなみに、これはウツに限ったことではありません。“インポ”“不妊”“ハゲ”“イビキ”……といった言葉が入ったタイトルも同様です。
そのため、そういった言葉(NGワード)が入った本は、売れ行きがかんばしくないのです。
もちろん、そういったNGワードは健康本だけではなく、他のジャンルにもあります。
以前は、人目を引くように、あえて露骨なタイトルをつけることが多かった出版業界でした。
でも、買いたいのに、タイトルがネックになって買えない消費者が増えたため、今、編集者はタイトルの命名に、ものすごく頭を抱えているのが現状なのです。