ゴーストライターの仕事
スーパーバイザー 倉林秀光
私はゴーストライターをする際、いつも心がけていることがあります。
それは著者とメンタルな部分で波長を合わせ、心を一体化させること。
そう、どんなに考え方や価値観が違っていて、意に沿わない点があったとしてもです。
たとえば、著者が女性で、生理痛で苦しんだ話を聞いたときがそう。
私は男性なので、当然、生理痛を経験したことなどありません。お腹がどのように痛み、どんな不快感があるのか……なんていうことはわかりません。
しかし、その苦しみ・つらさは共感できます。
つまり、同感は同じ体験をしなければできませんが、共感は同じ体験をしなくてもできるので、後者の姿勢で著者を受け入れるようにしているのです。
すると、不思議なものですね。
それが文章にも表れます。筆がどんどん乗ってきます。
頭でいちいち考えなくても、自動書記みたいに勝手に手が動き出す……なんていうこともたびたびあります。
モノを書くという仕事をずっとつづけてこられたのは、そうした姿勢も関係しているのかもしれません。