コンサルタントは警戒されている?
スーパーバイザー 倉林秀光
先週、A社の編集長とお会いしたとき、私にこう言ってきたことがありました。
最近、コンサルタントという肩書きを持つ新人著者の売り込みが多いんです。
コンマリさんの「片付けコンサルタント」に触発されたのでしょうかねえ。
どの人も名刺に必ずといっていいほど「○○コンサルタント」という肩書きを入れているんですよ。
コンサルタントという肩書きがあると、出版に有利になると思っているのかなあ……。
奇しくも、その数日後、今度はB社の編集長からこんな言葉が……。
先月、30以上の企画の売り込みがありましたが、三分の二以上が「コンサル」という肩書きのある人たちからのモノでした。
内、「集客コンサルタント」という肩書きの人が10人近くいました。でも、どの人の企画も「これ」といった斬新さがなく、編集会議では全部却下せざるをえませんでした。
コンサルという言葉にそんなに惹かれるのでしょうかねえ。
そのとおりといってもいいでしょう。
弁護士なのに「法律コンサルタント」とうたう人。
税理士なのに「節税コンサルタント」とうたう人。
歯科医なのに「デンタル・コンサルタント」とうたう人。
塾の講師なのに「受験コンサルタント」とうたう人。
枚挙にいとまがありません。
中には縁談を数回とり持っただけで「結婚コンサルタント」と自称する人も……。
いったい、いつからこんなにコンサルタントが増えたのでしょうか。
ハッキリ言いましょう。出版社の編集者はコンサルタントという言葉に警戒心を抱いています。「また、コンサルからの売り込みかよ」というのが本音です。
そこで、この際、みなさんも出版企画書を作成するにあたって、コンサルタントという言葉を一考してみてはどうでしょう。
他に的確な言葉がないか、検討してみてはどうでしょう。
ちなみに、私は便宜上「出版コンサル」の仕事も行っていますが、名刺にも拙著の「著者略歴」の欄にも「出版コンサルタント」という言葉は記していません。
もちろん、コンサルタント業務に携わるすべての人を否定しているわけではありませんが、「コンサルタントだから出版に有利になる」ということはありえないということを強調したいのです。
おそらく、こんな出版社の生の情報は他からはなかなか聞けないと思います。