エビデンスの重要性
スーパーバイザー 倉林秀光
最近、四〇代の女性のコンサルに応じました。
彼女は長年ヨガのインストラクターをしていて、テーマは「ヨガでうつ病を治す」というものです。
しかし、残念ながら、彼女に「現状のままでは商業出版社から本を出すのは厳しいと思います」と言わざるをえませんでした。
なぜでしょうか?
それは、ご自身のノウハウ・理論がキチンと体系化されていなかったこともさることながら、“エビデンス”(根拠・証拠)が曖昧であったからです。
「ヨガでうつ病を治す」と言っても、その理由がいまいち不明確なのです。
私がしつこく追及すると、黙り込んでしまう始末なのです。
最近、どこの出版社も健康本を多く出版するようになりました。
また、「健康本を出したい」という人も急増してきました。
しかし、健康本がブームだからといって、そう易々とは企画は通りません。
編集者は企画の善し悪しもさることながら、必ずといっていいほど、エビデンスに着目します。
言い換えると、エビデンスが曖昧だったり、キチンと確立されていないものは、企画書にどんなに美辞麗句を並べても、却下されてしまうのです。
私はこれまで足ツボセラピストの土田君枝さんの本を二冊プロデュースしてきました。
一冊はサンマーク出版、もう一冊はKADOKAWA中経出版から出すことに成功しました。
私が企画書を作成し、この二社に売り込んだとき、編集者が真っ先に口にした言葉は次のようなものでした。
「足ツボ療法が、なぜ身体に良いのか、健康にいいのか、この著者(土田さん)は、その理由を本文中でキチンと記述できますよね」
それに対する私の返答は「もちろんです」。
それほどまでに、エビデンスは重要なのです。