【見出しのつけ方に工夫をこらす その2】
スーパーバイザー 倉林秀光
前回、本になる前の企画書(構成案)の段階では、見出しは著者サイドで作る必要がある。
その場合、ありきたりの見出しでは、編集者の心には響かないので、少し工夫をこらして、編集者が興味・関心を示してくれるような見出しを作るといいということをお伝えしました。
今回はその続きです。
まずは私自身の体験談をお話しましょう。
以前、あるビジネス書をプロデュース・ライティングしたとき、「シマウマを追うライオンになるな!」という見出しをつけたところ、担当編集者から「さすがいい見出しですね」と、ほめられたことがありました。
シマウマを追うライオンになるな!
文字どおり解釈すれば、「狩りをするライオンになるな」となります。
でも、狩りをしなければ、エサにありつけなくなります。
そうなると、餓死してしまいますよね。
しかし、私は違った視点で、この見出しを打ち立てました。
ご存知のように、ライオンは群れ・集団で生活します。
その際、シマウマを狩るのは、メスの仕事です。
オスは基本的に傍観しているだけ。
余程のことがない限り、狩りには参加しません。
そんなオスでも、外敵が現れたとき、率先して敵と戦います。
メスや子供たちを守るためです。
転じて、
「男性には男性ならではの仕事がある。女性には女性ならではの仕事がある」
「だから、女性がやる仕事に、男性はあまり口をはさまないほうがいい」
ということを強調するために、上記のような見出しを打ち立てたのです。
では、
「男性には男性ならではの仕事がある。女性には女性ならではの仕事がある」
「女性がやる仕事に、男性はあまり口をはさまないほうがいい」
ということを、そのまま見出しにしたら、どうなるでしょうか。
なんか、ありきたりすぎますよね。
インパクトがありません。
本文を読むまえから、内容の想像がついてしまいます。
では「シマウマを追うライオンになるな!」はどうでしょう?
そこには意外性があります。
本文にどういったことが記されるのだろうということで、編集者の興味・関心をひきます。
このテクニックを出版企画書の構成案を作る際、用いてほしいのです。
出版企画書の構成案には、章ごとに見出しが並びます。
このとき、ありきたりの見出しを列記してしまうと、内容の想像がついてしまうため、編集者の興味は半減してしまいます。
しかし、一ひねり、二ひねりした“エッジ”の効いた見出しをつけると、編集者は逆の反応を示すようになります。
「これはどういう意味なのだろう?」
「どういう展開になるのだろう?」
「内容が気になる」
こう考え、興味・関心を抱いてくれるようになります。
そういう見出しが多ければ多いほど、「これはおもしろそうだ」ということで、企画を前向きに検討してくれるようになるのです。