【著者に求められるのは、肩書きよりも、スキルと実績】
スーパーバイザー 倉林秀光
以前もお話ししましたが、本を出したいという人の中には「○○コンサルタント」という肩書きをつけている人が少なくありません。
「ダイエットコンサルタント」
「集客コンサルタント」
「起業コンサルタント」
などなど。
最近、異業種交流会で知り合った女性も名刺に次のような肩書きを記していました。
「快眠コンサルタント」
ここで質問。
その女性、どういう仕事をしていると思いますか?
快眠コンサルタントというからには、心理カウンセラーや精神科医あたりを連想するのではないでしょうか。
私も最初はそう思いました。
しかし、驚くなかれ、彼女の本業は「寝具店」の経営者。
そう、布団屋さんなのです。
その人に合った布団や枕を勧め、快眠できるようにアドバイスしながら販売するわけだから、ある意味、コンサルタントと言えなくもありません。
うまいところをついたものです。
その彼女が「自分なりの快眠ノウハウがあるので、本を出したい」と言ってきたので、私は次のようにアドバイスしました。
自分なりの快眠ノウハウがあるとおっしゃいますが、キチンとしたエビデンス(科学的根拠)はおありですか?
キチンとそれが体系化できていますか?
これまで何千人、いや、それが無理なら何百人の人たちに快眠のアドバイスをしてきましたか?
内、不眠症で悩む人はどれくらいいましたか?
不眠症が解消できた有効率は何パーセントぐらいですか?
90パーセント以上の自信はおありですか?
私がこういうと、彼女は黙り込んでしまいました。
誤解がないように申し上げておくと、私はイヤミでこんな質問をしたわけではありません。
商業出版社の編集者は、著者の肩書きよりも、スキルと実績を重視することを、彼女にわかってもらいたかったのです。
みなさんも例外ではありません。
みなさんがどんな肩書きをつけようと、編集者はそんなことに関心を示しません。
編集者が関心を示すのは、その人がどういうノウハウを持っているか、それがいかに斬新であるか、そしてどれくらいの実績があるかなのです。
本を出したい人は、肩書きにこだわるまえに、そのへんのことを、今一度、足元から見直してみませんか。