【著者が自分でなければならない理由を探す】

スーパーバイザー 倉林秀光


あなたが書店にいったとします。そうしたら一冊のある本が目につきました。

本のタイトルは、
コスパ抜群! 自宅で簡単にできる美味しいラーメンの作り方

興味をそそられますよね。ラーメン好きならたまらないと思います。

では、このタイトルに次の一文が加わったら、あなたならAとB、どちらに惹かれますか?

A 主婦が書いた
  コスパ抜群! 自宅で簡単にできる美味しいラーメンの作り方

B 行列のできるラーメン店の店主が書いた
  コスパ抜群! 自宅で簡単にできる美味しいラーメンの作り方

さて、あなたならどちらの本を手にとりますか?

おそらくBのほうではないでしょうか。

同じ「コスパ抜群! 自宅で簡単にできる美味しいラーメンの作り方」であっても、Aの著者は主婦。

どんなに料理上手でも、作ったラーメンが家族から好評を博しても、ラーメン作りのプロではありません。素人です。

いっぽう、後者はラーメン作りのプロが著者。

それも行列のできるラーメン店の店主です。

どうして、Bの方が著者として相応しいのでしょうか?


その理由をお伝えするまえに、今度は実際にヒットした本を例に出して考えてみましょう。

たとえば、ベストセラーになった『医師に殺されない47の心得』の著者・近藤誠さん。

この本では、「抗がん薬は効かない、手術は寿命を縮める。とくに、ガンもどきのガンは放置したほうがいい。そのほうが長生きする」といったことを力説しています。

それは近藤さんが医師として長年にわたってガンのセカンドオピニオン外来を専門とし、ガンの治療に関わってきた経験・知見があるからです。

抗がん剤や手術で人がたくさん亡くなるのを見てきたからこそ言えることなのです。

同じくベストセラーになった「死は存在しない」の著者・田坂広志さん。

田坂さんは最先端量子科学を元に、そのエビデンスを踏まえながら、新たな仮説として、死後の世界が存在することをこの本で説き明かしました。

それは田坂さんが東大卒の工学博士で、原子力工学の専門家で、量子力学にも造詣が深く、その一方で科学では説明のつかない神秘的な体験を何度かしてきたからです。

科学者が死後の世界の存在を示唆するわけですから、非常に興味をそそられますね。

さて、これらの例を通じて、なぜ、彼らが著者なのか?

なぜ、彼らがそれぞれの本の著者であるべきなのか?

その理由は、皆さんなら、おわかりいただけると思います。

そう、その人が著者だからこそ書けること、その人にしか書けないことがあるからです。

言い換えると、著者である必然性があるのです。

同じことはあなたにもいえます。


本を出したい人は、著者であることの必然性を意識してほしいのです。

自分だからこそ書けること、自分にしか書けないことに意識を向けてほしいのです。

そこにはオリジナリティがあります。

強いメッセージ性も込められているでしょう。

そして何よりもパワーが秘められています。

それを活字に念写させてこそ、読み手をうならせることができるのです。

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