【文章をA4一枚でまとめる技術】
スーパーバイザー 倉林秀光
まずは、あなたに質問。
イソップ寓話に「北風と太陽」という話がありますよね。
これを、あなたは4行でまとめることができますか?
ちょっと難しいですが、私ならこうします。
北風と太陽が強さを競い合い、旅人のマントをはがしたほうが強いということにした。
まず北風が冷たい風を吹きかけたが、何度やっても、マントがはがせなかった。
次に太陽が日差しをどんどん強めていくと、旅人はマントを脱いでしまった。
この話は無理強いするよりも、温かく接すると、人の心は動くことを説いている。
さて、いかがでしたか。
まず、これでスケルトン(骨子)は表現できたと思います。
さあ、そうしたら、今度は少し肉付けしていきましょう。
たとえば次のようにです。
北風と太陽が、どちらが強いかを論じあい、旅人のマントをはがしたほうが強いということにした。
まず北風が強い風を吹き付けると、旅人は「寒い」といって、マントを体にきつく巻き付けたため、北風は何度も風を吹き付けても、マントをはがすことができなかった。
次に太陽は春の日差しのように男を照らし、その後、少しずつ日差しを強めていくと、旅人は「暑い」といって、マントを脱いでしまった。
こうして北風よりも太陽のほうが強いことが立証されたわけだが、この話は無理強いするよりも、温かく接すると、人の心は動くことを説いている。
どうです? ストーリーがさらに明確になりましたね。
この要領で、各々を1行~2行ずつ、増やしていくようにすれば、「北風と太陽」の話も、A4一枚の範囲で文章をおさめることができます。
出版企画書の企画意図も同じです。
自分はどういうテーマ・趣旨で、どういう内容の本を出版したいのか。
これを文章で表そうとするとき、まず4行で概要を表してみるのです。
次にそれを8行、その次に12行、16行……と増やしていく。
そうすれば、一字一句に慎重になれ、自分が述べたい重要事項をモレなく記載することができ、最終的にはA4一枚の範囲で文章をおさめることができるようになります。
ちなみに、これは出版企画書の企画意図に限ったことではありません。
通常の企画書やレポートの作成などにも同じことがいえます。
「あれも述べたい。これも述べたい。でも、うまく文章がまとまらない」という人は、一度、この方法を試してみませんか。