【宇宙銀行 その2】
スーパーバイザー 倉林秀光
前回、知人の植西聰さんという心理カウンセラーとタッグを組み、「徳を積むと良いことがたくさん起こる」という企画を「宇宙銀行」と命名。
それをサンマーク出版に売り込んだところ、瞬く間に、ゴーサインを出してもらうことができたといいました。
実は、この話には後日談(失敗談)があります。
「宇宙銀行というタイトルは斬新だし、この本はベストセラーになる」
編集者も著者も私もそう踏んだものの、いざ書店に並ぶと、思ったほど売れ行きは伸びませんでした。
なぜだと思います?
実はこの「宇宙銀行」には思わぬ盲点があったのです。
自己啓発書として出版したものの、なんと書店によっては金融関係のコーナーに置かれてしまったのです。
スーパーでたとえていえば、スナック菓子が生鮮食品のコーナーに置かれるようなもの。
これでは本来売れるはずのものでも、売れなくなってしまいますよね。
そこで、文庫化にあたり、「運のいい人は知っている『宇宙銀行』の使い方」と改名したのが写真の本なのです。
これは「宇宙銀行」に限ったことではありません。
「ビジネス書として出版したものの、実用書のコーナーに置かれてしまった」
「健康本として出版したのに、サブカルチャーのコーナーに置かれてしまった」
という話を今でもよく耳にします。
こうした過ちを犯さないためには、企画書を作成する段階で、編集者に一任しないで、著者サイドも
「自分が出したい本は、自己啓発書なのか? ビジネス書なのか? 実用書なのか?」
「そのためにはどういうタイトルが望ましいか」
ということをある程度明確にすることが大切になってきます。
言い換えると、そういったことを積極的に提案してくる著者に編集者は好感を寄せてくれるものなのです。