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【タイトルの付け方 その3】

スーパーバイザー 倉林秀光

 

前回同様、今回も出版企画書にタイトルをつけるにあたってのポイントについてお話しします。

 

第2回の今回は、常識の逆をいく手法についてです。

 

この手法はさほど多くはありませんが、ビジネス書や健康本をはじめ、あらゆるジャンルの本で見られ、代表的なものに『嫌われる勇気』、『英語は絶対勉強するな!』、『歯をみがいてはいけない』などがあります。

 

『嫌われる勇気』の場合は、他人の評価を気にしたり、劣等感などでさいなみ不自由に生きるくらいなら、他人から嫌われてもいいくらいの気持ちを持つことの大切さを強調しています。

 

『英語は絶対勉強するな!』の場合は、勉強そのものを否定しているわけではなく、「習うよりも慣れる」ことの大切さを強調しています。

 

『歯をみがいてはいけない』も同じで、歯みがきそのものを否定しているわけではありません。歯磨き粉は歯を傷つけやすかったり、歯をみがきすぎると歯茎を傷めるなど、「誤った歯のみがきかた」を強調しています。

 

私がプロデュースした本の中では植西聰さんの『へたな人生論よりイソップ物語』がその好例で、これも人生論そのものを否定しているのではなく、人生論よりもイソップのほうが短時間で単純明快に気づきが得られることもあるということを訴えています。

 

一見、常識を否定し、逆のことを言っているようですが、そうすることで強烈な印象を残す手法といっていいでしょう。

 

ただし、気をつけていただきたいのは、この種の手法はややもすれば誇大広告的になりがちで、読み進めていくうちに「なんだ。おおげさなことをうたっておきながら、中身はたいしたことないな」と、読者に失望感を与えてしまうことです。

 

今はネットの時代なので、Amazonのレビューなどでそれが書かれようものなら、一気にその情報が広まっていってしまいます。

 

したがって、そのへんは記述する内容と照らし合わせながら慎重に見極め、なおかつ読者の琴線にふれるかを吟味する必要があるでしょう。

 

しかし、インパクトと訴求力があるのは確かで、「吉」と出れば本が売れる可能性が大であり、何よりも企画書の段階では編集者が興味・関心を示してくれるのは間違いありません。

 

 

 

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