【シマウマを追うライオンになるな!】
スーパーバイザー 倉林秀光
以前、ビジネス書をプロデュース・ライティングしたとき、「シマウマを追うライオンになるな!」という見出しをつけ、担当編集者から「さすがいい見出しですね」と、ほめられたことがありました。
シマウマを追うライオンになるな!
文字どおり解釈すれば、「狩りをするライオンになるな」となります。
狩りをしなければ、エサにありつけなくなります。
そうなると、餓死してしまいます。
しかし、私は違った視点で、この見出しを打ち立てました。
ご存知のように、ライオンは群れ・集団で生活します。
その際、シマウマを狩るのは、メスの仕事です。
オスは基本的に傍観しているだけ。
余程のことがない限り、狩りには参加しません。
そんなオスでも、外敵が現れたとき、率先して敵と戦います。
メスや子供たちを守るためです。
転じて、
「男には男にしかできない仕事がある。いつもそのことを意識して行動しよう」
ということを強調するために、上記のような見出しを打ち立てたのです。
「男には男にしかできない仕事がある」
これを見出しとして打ち立てた場合、ありきたりすぎます。
インパクトがありません。
本文を読むまえから、内容の想像がついてしまいます。
では「シマウマを追うライオンになるな!」はどうでしょう?
そこには意外性があります。
本文にどういったことが記されているのだろうということで、読み手の興味・関心をひきます。
実は、このテクニックを出版企画書の構成案を作る際、用いてほしいのです。
出版企画書の構成案には、章ごとに見出しが並びます。
このとき、ありきたりの見出しを列記してしまうと、内容の想像がついてしまうため、編集者の興味は半減してしまいます。
しかし、一ひねり、二ひねりした“エッジ”の効いた見出しをつけると、編集者は逆の反応を示すようになります。
「これはどういう意味なのだろう?」「どういう展開になるのだろう?」ということで、企画書自体が強く目にやきつき、印象に残ります。
これもまた商業出版社から本を出す確率を上げるために大切なことなのです。