【kindleは危険!】

スーパーバイザー 倉林秀光

 近年、Kindleストア(電子書籍)で本を出す人が急増してきました。

 だからというわけではありませんが、商業出版社から本を出したい人に私は次のように忠告することがあります。

「商業出版社から本を出したければ、Kindleを出すのは、慎重になったほうがいいですよ」

 これにはキチンとした理由があります。

 結論を先に言うと、kindleを出すと、著者には一定のファンがどれくらいいるのか、また著者自身がどれだけ本を売りさばけるのかが明らかになってしまい、それが出版社の審査基準になってしまうからです。

 まず、出版社は2つの点を重視します。

 1つはダウンロード数。

 商業出版社が注目するのは、ダウンロード数(販売数)が最低でも1000を超えたかどうかです。

 ただ、これは「一定の読者がついている」と証明できる水準で、出版社から「この著者には読者基盤がある。検討の余地あり」と判断されるのは、ダウンロード数が2000以上だと思ったほうがいいでしょう。

 となると、ダウンロード数が100とか200であれば、論外。

 一時的に売上ランキングで上位に入っても、「この著者には固定の読者基盤がない」と判断されてしまい、商業出版社から紙の本を出版するのは難しいかもしれません。

 もう1つは、Amazonに書かれるレビュー数です。

 注目されやすいレビュー数は100以上。最低でも50は欲しいところです。

 また、レビューの平均評価が★4以上あることも重要で、レビューの数が多くても★が1つとか2つの低評価が多いと、逆効果になります。

 要するに、レビューは「数」だけでなく「質」も大切で、そこが出版社の判断材料になるのです。

 商業出版社から本を出すことを考えていない人は、これらはどうでもいい話ですが、そうでない人は出版社はこの2点を必ず突いてくると思ったほうがいいでしょう。

 だいいち、「この著者は商業出版社から本を出せないから、仕方なくkindleで出版したんだな」と思われてしまうのがオチです。

 だとしたら、やみくもにKindleで本を出さないことです。

 もちろん、こうしたことをさほど重視しない出版社もありますが、年々、この傾向は高まりつつあると考えてください。

関連記事