【オムニバス形式で構成案を作成する】
スーパーバイザー 倉林秀光
前回、前々回と、出版企画書の構成案をうまくまとめるためには、「起承転結」を意識することが大切になってくるといいました。
実はこれ以外にも構成案をまとめる方法があります。
それはオムニバス形式です。
オムニバスとは映画や文学などで、いくつかの独立した短編を集め、全体として一つの作品となるように構成したものをいいます。
映画でいえば、黒澤明監督の『夢』、テレビドラマでいえばタモリがナビゲーターを務める「世にも不思議な物語」などがそうです。
本の場合ですと、占い本などがその代表格といっていいでしょう。
西洋占星術の本などをめくると、章ごとに「天秤座」「蠍座」「射手座」……と分かれています。
血液型占いも同じで、やはり章ごとに「A型」「B型」「AB型」「O型」と分かれています。
構成案をまとめるにあたって、この手法を用いるようにするのです。
私が土田君枝さんの著書『ゴルフボールを踏むだけ足ツボ健康法』を手掛けたときは、まさしくこの手法に着目しました。
土田さんいわく、
「ゴルフボールを踏めば、足ツボを刺激することになるため、体調不良からも解放されるし、生活習慣病の予防にもなるし、病気の治療にも効果があるんですよ」
この言葉をヒントに私が考えたのは、以下のような構成でした。
1章では、足ツボ療法の効果をエビデンスに則って、総論的に解説をしよう。
2章では、肩こりや腰痛や頭痛といった体調不良をゴルフボールで治す話をしよう。
3章では、血圧や血糖値を下げるなど生活習慣病をゴルフボールで改善する話をしよう。
4章では、胃潰瘍や肝炎などの病気をゴルフボールで治す話をしよう。
もうおわかりですよね。
2章、3章、4章は各々「体調不良」「生活習慣病」「病気」という形で独立しています。
まさしくオムニバス形式。
それらがまとまることで本としての構成が成り立っています。
「自分が強調したいことは、各々、独立していて、どれも重要」
「だから、起承転結を意識するとまとめにくくなる」
そういうときは、この例にもあるように、オムニバス形式で構成案を作成してみるのもいいかもしれません。
しかし、このオムニバス形式にはリスクもあります。
それについては別の機会にお話ししましょう。