【タイトルの付け方 その1】
スーパーバイザー 倉林秀光
今回はタイトルの付け方についてお話しします。
本のタイトルは通常出版社が決めますが、それでも企画を売り込むときは、やはり企画書に著者サイドで仮のタイトルをつける必要があります。
そうでないと、編集者がパッと見たとき、本のテーマ・キーワードが瞬時に把握できないからです。
しかし、仮のタイトルといっても、決めるのは想像以上に難しい。
それによって、編集者がどれくらい興味・関心を示してくれるかが、ある程度、決まってしまうからです。
ピントがずれていようものなら、もう完全にアウト。企画書を突っ返されるのがオチです。
また、企画が通って、実際に出版の日の目を見ることができても、出版社がつけたタイトルも完全とは言い切れないところがあります。
「これはインパクトがある」
「これならいける!」
そう思って斬新なタイトルをつけたものの、実際に発売されたら、さっぱり売れなかった……というケースも多々あるからです。
逆に、「えっ、こんなタイトルの本が売れるの?」というケースもしばしばあり、出版社サイドが驚きと喜びの悲鳴をあげることもしばしばあります。
前々回もご紹介しましたが、2020年のビジネス部門のベストセラー1位となった『人は話し方が9割』(すばる舎)などは、その好例といっていいでしょう。
また、親しくおつきあいさせていただいている心理カウンセラー・植西聰さんの『平常心のコツ』(自由国民社)という著書もベストセラーになりましたが、植西さんは「あのタイトルの本がまさかあんなに売れるとは思わなかった」と私に語ったことがあります。
そこで、次回からはタイトルの具体的な決め方についてお話ししたいと思います。