編集者は著者略歴(プロフィール)のここを見る その2
前回、本を出したい人は、「なぜ著者が自分である必要があるのか」「自分でなければダメなのか」を明確にすると同時に、“あなたならではの良い意味でのギャップ”も意識するといいと述べましたが、当然、悪い意味でのギャップというのもあります。
たとえば、以前、私のところに40代後半の女性から、こんな相談を持ちかけられたことがありました。
「婚活をテーマにした本を出版したいので、五社ほど他人のツテでまわったのですが、どこも受け付けてくれません。なぜでしょうか」
その女性が私に見せてくださった企画書を拝見した限り、とてもよくまとまっていました。構成案もしっかりしています。
しかし、致命的なことが一つありました。それは、彼女自身が一度も結婚したことがないということです。
「何度も結婚~離婚を繰り返した末、ついに運命の赤い糸で結ばれた人と一緒になれた」「恋愛・結婚運がまったくなかった自分が、○○を実践したら、素晴らしい男性と巡り会えた」というのなら訴求力があります。
しかし、一度も結婚したことがない人が婚活の著者だとしたら、読者だって「あなたに言われる筋合いはない」と思ってしまうでしょう。
これは婚活――結婚に限ったことではありません。
起業家でないのに、起業家として成功する本を出版したい……。
株をやったことがないのに、株で儲ける本を出版したい……。
ダイエット経験がないのに、ダイエット本を出版したい……。
そういう人は、まず「なぜ著者が自分である必要があるのか」「自分でなければダメなのか」を明確にするべきです。そして、悪い意味でのギャップに気づくべきです。
編集者はそのへんを必ず突いてきますよ。