【本が売れたらこうなった その2】

スーパーバイザー 倉林秀光

 自分が手がけた本が立て続けに大ヒット。

 この本は今月8,000部増刷、来月は10,000部増刷。
 あちらの本は今月5,000部増刷、来月も5,000部増刷。

 結果、かなりの印税が入ってきたことを前回、お話しました。

 ところがです。
 そんな「重版出来現象」があるときを境にピタリと止まってしまったのです。

 そうなると、入ってくるモノも当然ピタリと止まるようになります。
 
 ということは、企業案件の収入だけでやりくりしなければなりません。
 
 これではいかんと思い、いろいろな本のブックライティングをするものの、そういうときに限って不発の初版どまり。
 
 しかも、起業の翌年からは社員も数人雇用するようになったため、人件費もかかります。
 
 銀行から借り入れをしたこともあったのですが、借りたお金は返さないといけないから、売掛金の回収に奔走しなければなりません。

 そのため、見かけは立派で「倉林社長」と呼ばれても、中身は火の車の状態が続くようになったのです。

 以来、私はこの時の体験を教訓として受け止め、本が売れて予想外の印税を手にしても無駄遣いを慎み、内部留保に努めるなどして、経営の安定化を図るようにしました

 私の体験談は以上ですが、この話を通して言いたいのは、本が売れに売れ、コンスタントに重版を繰り返しても、それはあるとき必ずピタリと止まるということです。

 ですから、あなたも同じような現象に遭遇したら、「運よくたまたま売れただけ。いつまで売れ続くか、わからない」くらいの気持ちでいてください。

 そうすれば、私のように散財することもなく、後になって後悔することもないでしょう。

 ましてや出版不況が叫ばれる今日、昭和の時代と違って、初版10,000部刷ってくれる出版社など、どこにもありません。

 初版4,000部から5,000部がいいところ。なかには初版2,000部からスタートという出版社もあります。

 また、昭和の時代とは異なり、重版した本の印税を刷り部数方式で支払う出版社は少なくなり、現在では大半の出版社が再版以降、実売部数に応じた支払い方式を採用しています。

 昭和の時代でしたら、定価1,600円の本が1,000部増刷し、印税率が10%だった場合、
定価1,600円×印税率10%×1,000部で、160,000円の収入が得られました。

 けれども令和の今は、定価が同じ1,600円の本で1,000部増刷し、印税率が10%だとしても、100冊しか売れなければ、定価1,600円×印税率10%×100部で16,000円しか入ってきません。

 つまり、2刷り目からは、売れた冊数分の印税しかもらえないのです。

 そう考えると、夢の印税生活はそれこそ夢のまた夢と思ったほうがいいかもしれません。

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